発電用バルブ一筋で1世紀を渡り歩いてきたOKANO。その歴史は、日本の発電インフラの普及に沿うようにして辿ってきた。
岡野満が北九州・門司の地で岡野商会を創業した1926年。大正から昭和に移り変わるこの時期は、都市部を中心に電力需要が急激に増え、発電インフラの普及が急務だった。
そうした情勢を追いながら、1932年には火力発電用高温高圧バルブの国産化に成功。発電インフラのキーパーツに特化したニッチなモノづくりの系譜は、この時から運命づけられたものとなっていく。
第二次世界大戦の混沌とした時代を経て、高度経済成長期に差しかかると新たに原子力発電が登場し、OKANOの技術もその流れに符合した。今では日本国内の原子力発電所のうちBWR(沸騰水型軽水炉)型でのシェアは約80%を誇り、日本の発電インフラを支えていると言っても過言ではない。
そうした系譜で欠かせないのが、国内大手重工メーカーや電力会社の存在だ。発電所に合わせた仕様や時代の変化とともに高まる技術水準など、時には難題とも思えるオーダーにたゆまず応え続けることで信用を勝ち得てきた。ニッチなモノづくりでの圧倒的なシェアは、発電インフラを通じて二人三脚で歩み続けてきた歴史でもある。