地域創生ファイル
受容と進化の街
北九州
ものづくりのまち再生の処方箋
TETT. 構想
動き始めるTETT.構想
地域企業のトランスフォーメーション
北九州を代表する老舗企業のひとつであるOKANOは、まず己からと、積極的にDXや新規事業開発に取り組んでいる。北九州にはかつて産業を牽引した街として、まだまだ地肩の強い尖った個性をもつ実直な企業が多い。これら企業は過去の成功があるからこそ、それに縛られ、近年のモノからコトへのシフト、産業のスマイルカーブ化への対応が遅れている。必要なのは、ベースの事業に、近代的事業構築力、マーケティング、DX、ブランディング、デザイン、アートといった要素を追加することだが、地方にはこの要素をもった人材はなかなか集まらず、コネクションを構築することも難しい。OKANOは近年培ってきたこれらノウハウ、ネットワークを広く地域企業に提供する構えだ。単社から地域全体としての動きに昇華させることが重要、OKANOはそう考えている。
人材バンク構想
先述した近代的事業構築力、マーケティング、DX、ブランディング、デザイン、アート、これらのスキルを持ちながら、地方に興味がある人材や、出身地にUターンしたい人材は少なくない。一方で、地方や地方企業にはこれら専門人材を受け入れる環境や、単社で抱えるほどの業務需要がないのが実情だ。OKANOはこれら人材やスキルをひとつの組織で抱え、プロジェクトベースで地域各社へ提供する枠組みの構築を始めている。この活動は、地方企業と首都圏人材を流動化させ、イノベーション創出を加速させるとともに、地方の人材不足の解決策として関係人口の創出にも寄与する。
もう一つ、地方の活力低下は街づくりをアクティブに担う若手の流出にも起因している。一方で、多くの若者が可能であれば出身地域で働きたいと考えているのも事実だ。この矛盾の背景には、BtoB企業が多い北九州市は尚更だが、地域企業がその存在や魅力を若者へリーチさせられていないことや、地域企業がアクティブな若者を活用する環境を整備できていないことがある。OKANOはこの課題を解決するトリクミも始めている。
これらトリクミは、地方創生人材プールプロジェクトとして、2022年から本格稼働する予定だ。
もう一つ、地方の活力低下は街づくりをアクティブに担う若手の流出にも起因している。一方で、多くの若者が可能であれば出身地域で働きたいと考えているのも事実だ。この矛盾の背景には、BtoB企業が多い北九州市は尚更だが、地域企業がその存在や魅力を若者へリーチさせられていないことや、地域企業がアクティブな若者を活用する環境を整備できていないことがある。OKANOはこの課題を解決するトリクミも始めている。
これらトリクミは、地方創生人材プールプロジェクトとして、2022年から本格稼働する予定だ。
教育プログラム
地域を支える人材は、地域がしっかりと育てる必要がある、そうOKANOは考える。今後の社会では、アベレージ的な人材よりも、いかに尖ったスキルをもつ人材を育てるかが重要だ。そのためには、幼少期にさまざまなものに触れ、きっかけをつくる必要がある。これを親だけではなく、地域社会全体で行っていく。OKANOでは2022年から、子どもたちがデジタルに触れるきっかけを支援するトリクミを開始する。学童期頃の子どもたちが楽しみながらプログラミングなどにチャレンジする活動だ。またこのトリクミをきっかけに、マーケティング、デザイン、建築、アートなど、さまざまなきっかけの場をつくる構想が広がっている。
日本全体、各地方都市は少子高齢化に喘ぐが、北九州市の高齢化率は日本でも屈指となっている。地方が活力を得るには、高齢者がより生産的になることも必須だ。OKANOでは高齢者がこれまで培った知識、スキルを社会に還元する仕組みづくりや、高齢者が学び直しをする場の構築にも着手している。学び直しは高齢者だけでなく、若い世代においても重要だ。10代～80代までの幅広い層に向けたスクール開催など、継続的な教育プログラムの準備を進めている。
日本全体、各地方都市は少子高齢化に喘ぐが、北九州市の高齢化率は日本でも屈指となっている。地方が活力を得るには、高齢者がより生産的になることも必須だ。OKANOでは高齢者がこれまで培った知識、スキルを社会に還元する仕組みづくりや、高齢者が学び直しをする場の構築にも着手している。学び直しは高齢者だけでなく、若い世代においても重要だ。10代～80代までの幅広い層に向けたスクール開催など、継続的な教育プログラムの準備を進めている。
文化的コンテンツの創出
住みやすい街づくりだけでは地方は活性化しない、OKANOはそう考える。正しく言うと、住みやすい環境は前提条件であって、地域に人が留まり集まるには、街のオリジナリティーを活かした刺激ある街づくりが必要だ。いくら住みやすくても、休日にショッピングモールに行くことくらいしか選択肢が無い街に誰も住みたいとは思わない。近い山川海、安価で美味しい食材、人間味あふれた飲み屋街、市場、瀟洒なショップ、整備された観光地、ギャンブルのメッカ。それらが渾然一体となった北九州は、SFアニメの巨匠、推理小説の大家、一世風靡したディーバなど、文化人を輩出してきたサブカルの聖地であり、昨今では映画やドラマのロケ地としても人気がある。
しかし何かが足りない。これだけの素材を磨き、連動させる動きが地域ぐるみで行われてこなかったことが要因だ。今、北九州市では地方創生のプレイヤーも増えてきているが、財界との連動は微弱だ。OKANOは、地域のプレイヤー、外部のプレイヤー、そして財界と行政を結びつけ、そして自らもプレイヤーとなることで、文化面からも北九州の魅力づくりに携わっていく予定だ。
しかし何かが足りない。これだけの素材を磨き、連動させる動きが地域ぐるみで行われてこなかったことが要因だ。今、北九州市では地方創生のプレイヤーも増えてきているが、財界との連動は微弱だ。OKANOは、地域のプレイヤー、外部のプレイヤー、そして財界と行政を結びつけ、そして自らもプレイヤーとなることで、文化面からも北九州の魅力づくりに携わっていく予定だ。
地域創生のシンボル開発
2026年に創業100年を迎えるOKANO。本社社屋と旧工場区画の建て替えプロジェクトが進んでいる。これは単なる社屋のアップデートでなく、地方企業のトランスフォーメーション、教育、人材、文化、これまで記載してきた要素の集積地となり、新たな価値を生む地域創生のロールモデルとなることを目指すものだ。施設は地域創生のシンボル、そして北九州エリアのランドマークとして、近隣の人々が誇りや居場所と感じられる場所に育てていく。テクノロジーもビジネスもアートもコミュニティも内包した文化の橋頭堡を目指す本プロジェクトは、本社所在地「中町1丁目」の頭文字をとって「N1プロジェクト」と呼ばれ、節目を迎えるOKANOの社会的・地域的使命にもつながると考えている。
