2021年、IoM事業部長に就任した佐藤はいかにしてものづくり企業を強化するか検討に取りかかった。最初に構想に挙がったのは情報提供プラットフォームだった。
これまで、ものづくり企業はノウハウを開示することが少なかった。例えば工場設備を可視化する手段一つとってもどうすれば実現できるのか、オープンな情報が見つからないのが普通だった。ビジネス展開のスピードが加速し、オープンソースが一般的な今では、このような状況は業界にとってマイナスだ。そこでOKANOが率先してものづくりをアップデートするための情報を発信する、という構想だ。
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佐藤:
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「当初はメディア展開を検討していました。しかし情報提供だけで製造業が変わるのかという疑問が湧いてきました。ものづくり企業の競争力を最大化する、という、より高次の課題を解決するには、もう少し広い視点が必要なのではないかと思い始めたんです。」
佐藤はまず世界における日本の競争力を分析した。「IMD世界競争力年鑑」によると日本の競争力は1992年まで64カ国中1位だったが、その後徐々に順位を落とし2021年には31位にまで低迷。世界の製造業界に目を向けてみると2014年には新興国の生産高が先進国を上回っている。