OKANOが本社を置く福岡県北九州市でも同様の対応に追われた。下水道管の総延長が約5000kmとされる北九州市では高度経済成長期に敷設されたものも存在し、維持管理において人手・コストの面から長年悩まされている。
そうした状況下で北九州市から相談を受けたOKANOとLiberawareは、自分たちで可能な解決方法の確立を急ピッチで進めることになった。狭所、暗所でのドローンの展開が得意なLiberawareの強みを生かし、OKANO側が点検プロセスを構築することで北九州市を含めた三者で課題解決に向けた体制づくりを図ることになる。
相談を受けてから約2か月後の2025年5月下旬。急ピッチによる三者での体制づくりを経て、「全国初」となるドローンによる下水道管調査を実施することになった。光が届かない地下に眠る下水道管にドローンを降ろし、地上で操縦しながら映し出される映像を基に腐食やひび割れがないかと調べる姿は下水道管調査の新たな形を世の中に示した。
初日の調査対象となった下水道管の長さは約100m。市内全体における下水道管の総延長と比較すると、ほんのわずかの長さでしかない。ただ、労働集約型の過酷な作業で展開してきた下水道管調査の現場に変化をもたらす大きな一歩となったことは間違いない。