OKANO式
共創エコシステムの
つくり方
OKANOが全国各地に設けるイノベーション拠点。現在は、沖縄と東京の2ヶ所が立ち上がり、今後さらに数ヵ所増やしていく計画が進行中だ。いずれも、大規模なイノベーションセンターではなく、地域に溶け込む根城のようなオフィスだ。OKANOは、新事業創造を加速させるには、越境環境と周辺企業・エリアとの融合が重要だと考える。リアルサイトを全国に作り、自社は言わずもがな、これからコトを起こそうとする多くの企業と共創しながらエコシステムを構築していく。
イノベーションに不可欠なのは
“越境” を促す環境
イノベーションを起こし、新たな価値を創出し続けるには、企業あるいは業界という小さな殻に閉じこもっていては難しい。外部のスタートアップやクリエイターなどさまざまなタレントと出会い、コトを起こすための種を蒔く。常に自身の視点で物事を捉え、判断・意思決定を行う。何よりも適切な環境に身を置くことで、物事を前に動かす習慣を身につけることが重要なポイントである。
企業・業界という枠組みを越境し、自らの殻を破る。さまざまな業種と物理的に混じりあう越境環境が有効なのだ。越境による新たな価値観や技術・アイデアとの出会いがこれまでの価値観を解き放ち、事業を創造・前進させていくエネルギーとなる。
OKANOは越境環境を率先してつくるべく、沖縄・コザと東京・日本橋に拠点を開設し、自社内外の共創エコシステムを発動させながらイノベーションを推し進めている。
当拠点では、OKANO自身もまた越境し、外部のパートナーとスクラムを組んでVQ事業、X-BORDER事業といった新規事業開発に取り組んでいる。「テクノロジー」と「クリエイティブ」を融合させ「Manufacturing Transformation」のビジョンを実現するべく、チャレンジし続けている。
日本で一番“外国なまち”
コザ
沖縄市コザ地区は、なんとも不思議な場所だ。元々米軍施設がある地区のため、あたかも海外のような雰囲気が漂っているが、かつての琉球文化も同居した「ちゃんぷるー」な街だ。近年はアートやナイトカルチャーでも注目され、若い熱気に溢れた場所でもある。
沖縄県沖縄市の中心地区であるコザは米軍嘉手納基地の門前町として栄え、沖縄県民、米軍、米軍人向け店舗を経営する多国籍な人々と文化がミックスされた国際色豊か且つ多様性に富んだ街だ。沖縄市発足や米軍用地の一部返還による人流変化でかつての賑わいに陰りが見えたコザ地区も、近年大きく変化している。地域の若者の主体的なまちおこしとその独特な文化に惹かれ日本全国から多様な人材が集まり続け、新たな賑わいがコザには生まれている。起業家、ITエンジニア、クリエイター、教育家、建築家、飲食関係者、起業家・Tech(IT)コミュニティを中心に専門的かつ多様な人材が、挑戦者を歓迎するこの街に集積し、共創を始めている。この「挑戦者の街」コザで、OKANOは新規事業を成功させると決意し、2021年10⽉に拠点設⽴。即座に新事業開発本部の社員3名が移住というスピード感で事業開発の体制をつくり上げた。
コザ地区内に独立オフィスを構える計画を進めながら、初年度はコザの起業家の中心となるStartup Lab Lagoonに拠点を置きながら、北九州やものづくり産業と、コザのTechコミュニティを繋ぐプラットフォームとして広く開放していく計画が進んでいる。
コザのメンバーは、まちや関わる⼈々の熱量にポジティブな影響を受けながら、新規事業の開発、拡張に取り組んでいる。メンバーのひとりはこう話す。
「コザ以前は、自社開発製品のVQ-ORCL(電動弁診断装置)を用いて、発電所の電動弁の診断をしていました。全国にわたる大きな仕事ですが、クローズな環境での業務はどうしても外との繋がりは限定的になってしまいます。コザではオープンな環境で仕事が行えるため、他業界の方の考え方など、新しい風を取り入れることができています。
このエリアにはITエンジニアの開発拠点の他、シェアリングサービス、コーチング事業、飲食、教育、医療などさまざまなスタートアップ企業やフリーランスが集まっています。ポジティブに事業を成功させようという強いオーラをエリア全体から感じ、横のつながりも強く互いに情報共有しあう環境です。
コザの皆さんは、自身の描いている事業や夢に対してポジティブに捉え、“必ず実現するんだ”という強い意思を抱いているのが印象的です。シェアオフィスでは、共有スペースの打ち合わせの声がたまに聞こえてきますが、とても前向きな議論が交わされています。そういった方々と話している中で、自分自身も自然とポジティブ思考に変化していっていると感じます。新規事業開発の拠点をコザに移してから、困難な事業であってもどうしたら実現できるのか、弊社経営理念のバリューに掲げている『出来ない理由ではなく、どうすれば出来るかを考える』をより強く意識するようになりました」。
実はコザはかつてシャッター街と言われるほど寂れていたが、スタートアップやカフェなどのカルチャーショップ、クリエイターなどの若い熱量がまち自体を活気ある場へと生まれ変わらせた。OKANOは商店街が盛り上がっていく様子に、地方再生の未来、可能性も強く感じた。
新旧が織り混ざった独自の空気感をもつコザと北九州は親和性があり、将来は北九州市と沖縄市を姉妹都市にしたいとも考えている。OKANOとコザの歩みはこれからも続いていく。
mapStartup Lab Lagoon
〒904-0004
沖縄県沖縄市中央1丁目7-8
STARTUP LAB Lagoon KOZA内
https://lagoon-koza.org/
mapX-BORDER KOZA
〒904-0004
沖縄県沖縄市中央1丁目15-14 2階
https://www.valvehub.jp/xborderkoza
TOKYOの新たなカルチャーシーン
日本橋
東京のカルチャーの中心地といえば、青山や渋谷など西に注目されがちだが、実は近年はカルチャーシーンが東側に移りつつある。日本橋は大きく5つのブロックからなり、いわゆる “江戸” を連想させる「日本橋・室町エリア」はかつての趣を残しながらも、目抜き通りは銀座のような都市空間へと様変わりしつつある。それ以外にも、ブルーボトルの出店で若者が集うまちになった清澄白河から川を挟んで対岸の「浜町エリア」は大手アパレルのコンセプトストアやアパートメントホテルなど斬新な物件が軒を連ね、日本のウォール街「兜町・茅場町エリア」は明治・大正期の建築をリノベーションした複合施設など玄人にも話題の地となっている。
東京イーストサイドの火付け役は西側に飽きたアーティストたちで、彼らの活動は「東日本橋エリア」で緩やかに衰退しつつあった繊維問屋街の活性化に一役買った。岡野バルブ東京オフィスも、このエリアの一角に居を構えている。
OKANOは東京営業所のリニューアルを機に、東京オフィスとしての機能は持ちつつも、カルチャーハブとなりつつある日本橋に人材が集う場を持ちたいと考え、建築設計事務所のセンブンノイチと共同で小規模文化施設(マイクロコンプレックス)「S-TOKYO」の立ち上げを決めた。
S-TOKYOは、探索(Seek)、共有(Share)、談話(Salon)、展示(Showcase)などの多義的な “S” を冠した共創空間だ。
地方の企業やスタートアップ、クリエイターなどが上京した際の止まり木のような場となること、もちろん東京を拠点とする個性的なプレイヤーにとっても、知見をシェアし合うコミュニティとなることを目的としている。2階のSalon&Showcaseを中心に、定期的にゲストを招いてサロンを開催したり、1階のバーもシェア形式でマスターやママが入れ替わり来店者の属性が変化したりするなど、固定化されないコミュニティとして、常に新鮮な刺激を得られる場となることを目標に運営される予定だ。
S-TOKYOは、コザとは街の特性やコミュニティの個性が異なるからこそ、将来生まれうるトリクミ、タクラミもまったく毛色の違ったものになるはずだ。OKANO、パートナーであるセンブンノイチの両運営メンバーは、オープン前から胸を躍らせている。
このマイクロコンプレックスは、2022年3月より順次本格稼働していく予定だ。活動レポートは、改めて紙幅を割いて紹介できればと思う。
mapS-TOKYO
〒103-0001
東京都中央区日本橋小伝馬町16-5
https://www.valvehub.jp/s-tokyo
地域、人、そして熱量。
“越境” が “うねり” をつくる。
私たちはその街の営みに溶け込み、そこに集う人々の熱量の “うねり” を作っていくことを大切にしている。また、既に出来上がったエリアに鳴り物入りで踏み込んでいくのではなく、未完成なエリア、言い換えれば、熱量のポテンシャルを孕んだ場に着目する。
出来上がっていないからこそ、予測不可能で混沌とした可能性の海が拡がっている。そして、その可能性を集積する場をつくり出し、自らも1プレイヤーとして身を置くことで、領域も所属も横断したチームやプロジェクトが自然発生的に巻き起こっていく。これがOKANOが考える越境エコシステムの在り方だ。
北九州、沖縄・コザ、東京・日本橋をはじめ、OKANOはこれからもマルチリージョナルに活動を拡げ、越境環境を作り出していく。そしてこれを自社の新規事業や価値創出のみならず、未来志向で改革を志す企業全体に拡げ、熱量のうねりを作り出していこうと思う。
OKANOのイノベーション拠点に関してご興味ある方は、お気軽にお問い合わせよりご連絡ください。協業や情報交換など、あたらしいトリクミへのお声がけも大歓迎です。