開発が袋小路に入り、思い悩んでいたちょうどその時。プロジェクトの歯車が再び回り始めるきっかけを生む新たなメンバーが思いがけず現れた。
そのメンバーの名は奈須田友也。奈須田はこれまでに大手通信機器メーカーで情報デバイスや産業機器などのデザインに従事し、機能とデザインを両立させた生活に身近なプロダクトを数多く手がけてきた。
そんな人材がふとしたきっかけでコーポレートサイトを通じてOKANOの取り組みを目にし、「自分に関われることはないか」とアプローチしてきた。機能とデザインの両方を理解するプロダクトデザイナーは、蒸留器の開発を進める上で喉から手が出るほど求めていた存在。思いがけないキーマンの登場に、断る理由などあろうはずもない。
2026年春、奈須田は蒸留器開発の新たなメンバーとしてOKANOに入社。そのタイミングに合わせ、チーム全体で蒸留器の構造、ターゲットとして狙う市場、デザインの方向性など開発の全体的な見直しに着手した。
その上で改めて浮かび上がってきたのは、「市場でいかに受け入れられるか」。蒸留器製造で後発となるOKANOが、海外勢を含めた先発の蒸留器メーカーに割って入るのは容易ではない。単なるシェアの奪い合いではない形で蒸留器の市場における独自性を確立するかが、今後の開発全体におけるカギを握る。
新たなメンバーを加えて再始動した蒸留器開発。現段階で機能とデザインの最適解を導く明確な道筋が見えているわけでない。それでも、日本のモノづくりのプライドを賭けて始まった取り組みは、その先の光を求めてこれからも続いていく。